「褒めたほうがいいのは分かっているけれど、どう褒めればいいか分からない」——そんな悩みを持つ保護者は少なくありません。ペアレント・トレーニングで教えている効果的な褒め方のコツを紹介します。
なぜ「褒める」が大切なのか
ペアレント・トレーニングでは、子どもの行動を変えるための最も重要なスキルとして「褒める」を位置づけています。
子どもは褒められた行動を繰り返す傾向があります。これは「正の強化」と呼ばれる行動の原理です。逆に、叱ることで一時的に行動が止まっても、長期的には効果が薄いことが研究で明らかになっています。
行動の原理:褒められた行動は増える。叱られた行動は一時的に減るが、根本的には変わりにくい。だからこそ、「好ましい行動を見つけて褒める」ことが最も効果的な方法なのです。
効果的な褒め方の3原則
ペアトレで教えている褒め方には、3つの大切なポイントがあります。
1. 具体的に褒める
❌ 「えらいね」「すごいね」
✅ 「自分からお片づけできたね」
✅ 「妹におもちゃを貸してあげたね」
何が良かったのか具体的に伝えることで、子どもは「この行動をまたしよう」と理解できます。
2. すぐに褒める
良い行動を見つけたら、その場ですぐに褒めましょう。時間が経つと、子どもは何を褒められたのか分からなくなります。
「後で褒めよう」と思っても忘れがち。気づいた瞬間に声をかけるのが大切です。
3. 一貫して褒める
同じ行動には、毎回同じように褒めることが重要です。「今日は褒めるけど明日は褒めない」では、子どもは混乱します。
家族間でも一貫した対応ができると、より効果的です。
「褒めるところがない」と感じたら
「うちの子には褒めるところがない…」と感じる方もいるかもしれません。でも、よく観察してみると、意外と見逃している好ましい行動があるものです。
25%ルール
ペアトレでは「25%ルール」という考え方を紹介することがあります。完璧にできたときだけ褒めるのではなく、25%でもできていたら褒めるという方法です。
- お片づけが半分しかできなくても→「お片づけ始めてくれたね!」
- 宿題を途中までしかやらなくても→「自分から机に向かえたね!」
- 少しだけ静かにできたら→「静かにしてくれてありがとう!」
完璧を求めるのではなく、できている部分を見つける目を養うことが大切です。これは、ペアトレで最も重要なスキルの一つです。
褒め方のバリエーション
言葉だけが褒め方ではありません。さまざまな方法を組み合わせましょう。
| 方法 | 具体例 |
|---|---|
| 言葉で褒める | 「自分でできたね!」「ありがとう、助かったよ」 |
| スキンシップ | 頭をなでる、ハイタッチ、ぎゅっとハグ |
| 表情・態度 | 笑顔を見せる、拍手する、うなずく |
| 活動で褒める | 「一緒にゲームしよう」「公園に行こう」 |
| トークン | シールやポイントを貯めて、ごほうびと交換 |
よくある「褒め方」の疑問
Q. 褒めすぎると調子に乗りませんか?
A. 具体的な行動を褒めている限り、「調子に乗る」心配はほとんどありません。「何が良かったか」を伝えることで、子どもは正しい行動基準を学んでいきます。
Q. 「当たり前のこと」も褒める必要がありますか?
A. はい。大人にとっては「当たり前」でも、子どもにとっては努力が必要なことかもしれません。特にペアトレの初期は、「当たり前」のことほど意識して褒めることが大切です。
Q. 褒めても反応がないのですが…
A. 表面上は反応がなくても、内心では嬉しく感じていることが多いです。特に思春期が近い子どもは照れくさくて反応を見せないこともあります。反応がなくても褒め続けることが大切です。
今日からできること
まずは1日1回、子どもの「好ましい行動」を見つけて、具体的に褒めることから始めてみてください。小さな一歩が、親子関係を変えるきっかけになります。
もっと体系的に学びたい方は、ペアレント・トレーニングの講座への参加をおすすめします。

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