「ペアレント・トレーニング(ペアトレ)を受けたい」と思ったとき、最初にぶつかるのが「どこで受けられるの?」という壁です。病院?役所?ネットで検索しても情報がバラバラで、なかなかたどり着けない方も多いのではないでしょうか。本記事では、ペアトレを実施している場所の種類と、具体的な探し方を詳しく解説します。
ペアレントトレーニングを実施している場所(5つの窓口)
ペアトレは、さまざまな機関で実施されています。大きく分けると以下の5つの窓口があります。それぞれの特徴と、実際に利用した方のエピソードを交えて紹介します。
1. 発達障害者支援センター
各都道府県・政令指定都市に設置されている公的な相談機関です。ペアトレ講座を無料で実施しているところが多く、最初の相談先として最もおすすめです。
- 全国に約100か所設置
- 相談・情報提供・就労支援など幅広い支援を実施
- ペアトレ以外にも、ペアレント・プログラムや個別相談に対応
- 臨床心理士・公認心理師など専門スタッフが在籍
Aさん(5歳の男の子のお母さん)は、県の発達障害者支援センターに電話で問い合わせました。「ペアトレを受けたいのですが」と伝えたところ、3か月後に開始予定の講座を案内してもらえました。全6回の無料講座で、同じ年齢の子を持つ親御さん8人のグループでした。「電話1本でこんなに具体的な案内がもらえるとは思わなかった」と話しています。
詳しい活用方法は「発達障害者支援センター活用ガイド」をご覧ください。
2. 市区町村の子育て支援センター・保健センター
住んでいる地域の身近な窓口として、子育て支援センターや保健センターがあります。乳幼児健診をきっかけに案内されることも多い場所です。
- 地域によっては独自のペアトレ講座を開催
- 保健師や心理士に直接相談できる
- 無料または低額で利用可能
- 広報誌やWebサイトで開催情報を掲載していることが多い
- 年度初め(4〜5月)に募集開始のケースが多い
Bさん(3歳の女の子のお母さん)は、3歳児健診の際に保健師さんから「子育てに困りごとがありませんか?」と声をかけられ、市の保健センターで開催されるペアトレ講座を紹介されました。「健診がきっかけでペアトレに出会えた」と振り返っています。健診の際に気になることがあれば、遠慮せず相談してみましょう。
3. 医療機関(小児科・精神科)
発達障害の診断や治療を行っている小児科・児童精神科の中には、併設のリハビリテーション部門や心理部門でペアトレを実施している施設があります。
- 主治医の紹介で参加できるケースが多い
- 診察と連携した個別性の高いプログラム
- お子さんの特性に合わせたアドバイスがもらいやすい
- 費用は保険適用外で数千円〜1万円程度かかることがある
- 待機期間が長い場合もある(数か月待ちのことも)
医療機関でのペアトレは、お子さんの診断や治療と並行して受けられるのが大きなメリットです。主治医に「ペアトレに興味がある」と伝えてみてください。院内で実施していなくても、地域の講座を紹介してもらえることがあります。費用の詳細はペアトレの費用ガイドで解説しています。
4. NPO法人・福祉事業所
発達支援に特化したNPO法人や放課後等デイサービスなどの福祉事業所が、保護者向けにペアトレ講座を開催しているケースがあります。
- 専門性の高いスタッフ(臨床心理士・公認心理師など)が担当
- 少人数制で丁寧なプログラムが多い
- 費用は無料〜数千円と団体により異なる
- 地域のネットワークづくりにもつながる
- お子さんが通っているデイサービスで保護者向けに開催されることも
Cさん(小2の男の子のお母さん)は、息子が通う放課後等デイサービスで保護者向けのペアトレ講座が開催されることを知り、参加しました。「普段子どもを見てくれているスタッフがファシリテーターだったので、うちの子に合った具体的なアドバイスがもらえたのが良かった」と話しています。
5. オンライン講座
コロナ禍を機に、Zoom等を使ったオンラインでのペアトレが急速に広がりました。自宅から参加できるため、近くに講座がない地域の方にとって大きな選択肢です。
- 全国どこからでも参加可能
- 子どもを預けなくても受講しやすい(寝た後に参加する方も)
- 対面と同等の効果があることが研究で示されている
- 録画配信型ではなく、リアルタイム参加型が主流
- 移動時間がかからないため、仕事との両立がしやすい
Dさん(地方在住・小1の女の子のお母さん)は、県内にペアトレ講座が見つからず困っていましたが、隣県の支援センターがオンライン講座を開催していることを知り、参加しました。「オンラインでも十分に学べた。グループワークもZoomで問題なくできた」とのことです。
5つの窓口の比較表
| 窓口 | 費用 | 診断の要否 | 待機期間 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 発達障害者支援センター | 無料が多い | 不要が多い | 数ヶ月 | 最初の相談先に最適 |
| 市区町村の窓口 | 無料〜低額 | 不要 | 年度初め募集 | 身近で相談しやすい |
| 医療機関 | 数千円〜 | 必要な場合あり | 数ヶ月 | 診察と連携できる |
| NPO・福祉事業所 | 無料〜数千円 | 不要が多い | 随時 | 少人数・丁寧 |
| オンライン講座 | 無料〜数千円 | 不要が多い | 随時〜数ヶ月 | 全国どこからでも |
具体的な探し方3ステップ
「場所の種類はわかったけど、実際にどう探せばいいの?」という方のために、3つのステップで具体的な探し方をご紹介します。
Step 1:発達障害者支援センターに相談する
まずは、お住まいの都道府県の発達障害者支援センターに電話で問い合わせましょう。「ペアレント・トレーニングを受けたい」と伝えれば、センター主催の講座や、地域の他の実施機関を紹介してもらえます。
電話する際のコツとしては、以下のことを伝えるとスムーズです。
- お子さんの年齢
- 診断の有無(診断がなくても相談OK)
- お住まいの市区町村名
- 「ペアトレの講座を探している」ということ
Step 2:市区町村の広報誌やWebサイトをチェックする
お住まいの市区町村の広報誌や公式Webサイトには、子育て支援関連の講座情報が掲載されています。「ペアレントトレーニング」「子育て講座」「発達支援」「ペアトレ」などのキーワードで検索してみましょう。
- 自治体Webサイトの「子育て支援」「障害福祉」ページを確認
- 広報誌の「お知らせ」「講座・イベント」コーナーに掲載されることが多い
- 募集時期は年度初め(4〜5月)に集中する傾向あり。3月頃からチェックしておくと良い
- 定員が少ないことが多いので、見つけたら早めに申し込みを
Step 3:当サイトのイベント一覧で全国の講座を検索する
当サイト「ペアトレ JP」では、全国のペアトレ講座情報を地域別にまとめています。お住まいの地域のペアトレ講座がないか、ぜひ確認してみてください。
年齢別のおすすめ窓口
お子さんの年齢によって、アクセスしやすい窓口が異なります。以下を参考にしてください。
0〜3歳(未就園児)
市区町村の保健センターが最初の窓口として最適です。乳幼児健診のフォローアップとしてペアトレを紹介してもらえることがあります。幼児期のペアトレは早期に始めるほど効果が出やすいとされています。
3〜6歳(幼児期)
発達障害者支援センターや療育機関(児童発達支援事業所)が充実しています。園の先生からの紹介で参加するケースも多いです。この年齢の子どもはイヤイヤ期の対応や癇癪への対応が中心的なテーマになります。
小学生以上
NPO法人・放課後等デイサービスが保護者向け講座を開催していることが多いです。また、不登校や学習障害など、学齢期特有のテーマに対応した講座もあります。学校のスクールカウンセラーに相談すると、地域の情報を教えてもらえることもあります。
見つからない場合の対処法
検索しても近くにペアトレ講座が見つからない場合、以下の方法を試してみてください。
支援センターに直接問い合わせる
Webサイトに情報が掲載されていなくても、電話で直接問い合わせると案内してもらえることがあります。「今は募集していませんが、次回は○月に予定しています」と教えてもらえることも。年度途中で追加募集されることもあるため、一度断られても定期的に確認するのがおすすめです。
隣接する自治体も視野に入れる
お住まいの市区町村に講座がなくても、隣の市町村や県の支援センターで開催していることがあります。特にオンライン講座は、都道府県をまたいで参加できるケースもあるので、広い範囲で探してみましょう。
ペアレント・プログラムも検討する
ペアトレよりも手軽に受けられる「ペアレント・プログラム」も選択肢のひとつです。ペアトレが5〜10回の連続講座であるのに対し、ペアレント・プログラムは全6回とコンパクト。発達障害の診断がなくても参加できることが多く、「まず最初の一歩」として適しています。
関連書籍で自主的に学ぶ
講座への参加が難しい場合は、ペアトレの考え方を書籍で学ぶこともできます。専門家が監修した実践的なワークブックも出版されており、家庭で取り組める内容が紹介されています。おすすめの書籍は「書籍・資料一覧」にまとめています。
よくある質問(Q&A)
Q1. 発達障害の診断がなくてもペアトレを受けられますか?
A. はい、多くの講座は診断がなくても参加可能です。「子育てに困りごとがある」「子どもの行動で悩んでいる」という方であれば、グレーゾーンの方も含めて幅広く受け入れている講座がほとんどです。申し込みの際に「診断はありませんが参加できますか?」と確認してみてください。
Q2. 父親(男性保護者)でも参加できますか?
A. もちろんです。最近は父親の参加も増えています。夫婦で参加できる講座もありますし、父親だけでの参加も歓迎されます。ペアトレは「母親が学ぶもの」ではなく、「子どもに関わるすべての大人」が対象です。
Q3. 講座の期間中に全回出席できなさそうですが、大丈夫ですか?
A. 講座によって対応は異なりますが、多くの場合、やむを得ない欠席には補講や資料配布で対応してくれます。ただし、ペアトレはセッションが積み重なる構造になっているため、できるだけ継続して参加する方が効果は高いです。事前に欠席の可能性を伝えておくとよいでしょう。
Q4. 子どもを連れて行っても大丈夫ですか?
A. 託児サービスがある講座もあります。申し込みの際に確認しましょう。託児がない場合は、オンライン講座であれば子どもが寝た後に自宅から参加するという方法もあります。
ペアトレで学べるスキルの概要
「どこで受けるか」と同時に、「何が学べるのか」を知っておくとモチベーションが上がります。ペアトレで学ぶ主要なスキルは以下の通りです。
- 行動の3分類:子どもの行動を「好ましい」「好ましくない」「危険」に分けて対応を変える
- 効果的な褒め方:具体的に・すぐに・感情を込めて褒めることで、好ましい行動を増やす
- CCQ:穏やかに・近づいて・静かに指示を出す方法
- 環境調整:問題が起きにくい環境をつくる工夫
受講の具体的な流れについては、「受講の流れ」ガイドで詳しく解説しています。
まとめ
ペアレントトレーニングは、発達障害者支援センター、市区町村の支援窓口、医療機関、NPO法人、オンライン講座など、さまざまな場所で受けることができます。
まずは発達障害者支援センターに電話相談することが、最初の一歩としておすすめです。また、当サイトのイベント一覧ページでは全国のペアトレ講座情報を地域別にまとめていますので、ぜひご活用ください。
ペアトレを受けることで、子どもとの関わり方に自信が持てるようになります。「どこで受けられるかわからない」という壁を越えて、ぜひ一歩踏み出してみてください。
ペアトレの基本について知りたい方は「ペアトレ完全ガイド 第1章:ペアレント・トレーニングとは」もあわせてお読みください。費用について知りたい方は「ペアトレの費用はいくら?」をご覧ください。


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