
「早くしなさい!」「何回言ったらわかるの!」——つい大きな声で言ってしまうこと、ありませんか?ペアトレで学ぶ「CCQ」を使えば、怒鳴らなくても子どもに指示が伝わるようになります。
CCQとは?
CCQは、子どもに指示を出すときの3つの基本原則の頭文字です。
C — Calm(穏やかに)
イライラしていても、まず深呼吸。落ち着いた声のトーンで伝えましょう。怒鳴り声では、子どもは「怒られている」ことだけに注目し、指示の中身が頭に入りません。
C — Close(近づいて)
キッチンからリビングに向かって叫ぶのではなく、子どもの近くまで行きます。目の高さを合わせ、肩に手を置くなどして「あなたに話しているよ」と伝えます。
Q — Quiet(静かに)
大きな声ではなく、少し小さめの声で話します。実は、ひそひそ声のほうが子どもは「聞こう」とする姿勢になります。声のボリュームを下げるだけで効果抜群です。
よくある場面でのCCQ実践例
場面1:朝の支度が進まない
❌ Before:「いつまでパジャマでいるの!早く着替えなさい!遅刻するよ!」(離れた場所から大声で)
⭕ After:(子どものそばまで行き、目を見て、穏やかな声で)「着替えの時間だよ。お洋服を着よう。」
場面2:ゲームをやめない
❌ Before:「いい加減にしなさい!何時間やってるの!」
⭕ After:(隣に座り、画面を一緒に見て)「あと5分で終わりの時間だよ。キリのいいところで止めようね。」
場面3:スーパーで走り回る
❌ Before:「走らないで! 止まりなさい!」(追いかけながら大声で)
⭕ After:(追いついて手を握り)「ここでは歩こうね。ママと一緒にカートを押してくれる?」
CCQをもっと効果的にする「+α」のコツ
- 肯定形で伝える — 「走らないで」→「歩こうね」、「散らかさないで」→「箱に入れてね」
- 短く・一つずつ — 「片付けて、手を洗って、席について」と一度に3つ言わない
- 予告する — 「あと5分で終わりだよ」と事前に知らせる
- 選択肢を与える — 「歯磨きと着替え、どっちが先がいい?」
- できたらすぐ褒める — 指示に従えたら「すぐに動けたね!」と伝える
最初は意識的に、やがて自然に
CCQは慣れるまで意識的に実践する必要があります。最初は「イラッとしたら深呼吸」「近づいてから話す」の2つだけでも大丈夫。続けるうちに自然と身についていきます。
ペアトレ受講者のアンケートでは、CCQを学んだ後に「子どもへの怒鳴り声が半分以下になった」という声が多く聞かれます。子どもだけでなく、保護者自身の気持ちも楽になるテクニックです。
CCQについてさらに詳しくはペアトレ完全ガイド 第2章をご覧ください。ペアトレの受け方も合わせてどうぞ。
年齢別のCCQ実践ポイント
CCQは基本原則こそ同じですが、子どもの年齢によって工夫すべきポイントが異なります。年齢に合わせた声かけの仕方を知っておくと、より効果的に実践できます。
2〜3歳(イヤイヤ期)
この時期の子どもは自己主張が強くなり、「イヤ!」が口癖になります。言葉の理解力はまだ発達途中なので、CCQに加えて視覚的な手がかりを活用しましょう。
- しゃがんで目の高さを合わせる — 大人が立ったままだと、見下ろされる形になり威圧感を与えます
- 言葉は短く、ジェスチャーを添える — 「お靴、はこうね」と靴を指さす
- 選択肢を与える — 「赤い靴と青い靴、どっちにする?」と選ばせることで「自分で決めた」という満足感が生まれます
- できたらすぐ大げさに褒める — 拍手やハイタッチで「できたね!」と伝える
イヤイヤ期の子どもへの対応は、イヤイヤ期がつらい…ペアトレで学ぶ「子どもに伝わる」5つの関わり方でも詳しく解説しています。
4〜6歳(幼児後期)
言葉の理解が進み、理由の説明が少しずつ通じるようになる時期です。ただし、長い説明はまだ苦手です。
- 「なぜ」を短く添える — 「歩こうね。走るとぶつかって痛いからね」と一言だけ理由を伝える
- 予告を活用する — 「あと5分で終わりだよ」と事前に知らせることで、切り替えがスムーズになります
- 「○○したら△△しよう」形式 — 「お片付けしたら、一緒に絵本を読もうね」と次の楽しみを示す
- 感情を言葉にする手伝い — 「悔しかったんだね。でも叩くのはダメだよ」と感情に寄り添いながら伝える
小学校低学年(6〜8歳)
論理的な思考が芽生え、「ルール」を理解できるようになります。CCQに加えて、約束事を事前に決めておくと効果的です。
- 事前にルールを確認する — 「宿題は何時から始める?」と本人に宣言させる
- 結果を予告する — 「ゲームの時間が終わったら片付けてね。片付けられたら明日もゲームできるよ」
- ささやき声を使う — 小学生には特にQuiet(静かに)が効果的。ひそひそ声で話すと「内緒話」のように感じて注目します
- 「ありがとう」を使う — 「靴を揃えてくれてありがとう」と感謝の言葉を伝えると、自尊心が育ちます
小学校高学年〜中学生(9歳以上)
自立心が強くなり、「言われるとやりたくなくなる」時期です。CCQの中でも特にCalm(穏やかに)が重要になります。
- 命令形を避け、提案形にする — 「片付けなさい」ではなく「片付けると明日の朝が楽だよ」
- プライドを尊重する — 人前で注意せず、二人きりのときに穏やかに伝える
- 本人の意見を聞く — 「どうしたらいいと思う?」と自分で考えさせる
- 行動には触れるが、人格は否定しない — 「遅刻したね」はOK、「だらしない」はNG
CCQがうまくいかないときの対処法
CCQを実践しても子どもが指示に従わないことはあります。そんなときに試したい対処法を紹介します。
原因1:子どもが別のことに集中している
テレビやゲームに夢中のときは、まず注意を引いてから指示を出しましょう。肩に手を置く、テレビの前に立つなど、視界に入ることが大切です。「○○ちゃん」と名前を呼び、目が合ってから話し始めます。
原因2:指示が複雑すぎる
「片付けて、手を洗って、着替えて、宿題して」と一度に複数の指示を出すと、子どもは混乱します。一つずつ、順番に伝えましょう。最初の指示ができたら褒めて、次の指示を出します。
原因3:「やめて」ばかりになっている
「走らないで」「触らないで」「騒がないで」――否定形の指示は、子どもにとって「じゃあ何をすればいいの?」がわかりません。肯定形に言い換える習慣をつけましょう。「歩こうね」「手はおひざに置こうね」「小さい声で話そうね」と、してほしい行動を具体的に伝えます。
原因4:保護者自身が疲れている
イライラしているときにCCQを実践するのは簡単ではありません。自分が限界だと感じたら、まず自分自身を落ち着かせることが先です。深呼吸を3回する、別の部屋で10秒間だけ一人になる、水を一杯飲む——こうした小さなクールダウンが効果的です。育児の疲れが溜まっている場合は、育児ノイローゼとペアトレの記事も参考にしてください。
CCQと「行動の3分類」の組み合わせ
CCQは行動の3分類と組み合わせることで、さらに効果を発揮します。行動の3分類とは、子どもの行動を「好ましい行動(増やしたい)」「好ましくない行動(減らしたい)」「許しがたい行動(危険な行動)」の3つに分けて、それぞれに適切な対応をする方法です。
- 好ましい行動には → CCQで指示を出し、できたらすぐに具体的に褒める
- 好ましくない行動には → CCQで代わりの行動を提案し、注目を外す(計画的無視)
- 許しがたい行動には → Calm(穏やかに)を意識しつつ、毅然と短く制止する
たとえば、食事中に立ち歩く子どもには、追いかけて怒鳴るのではなく、近づいて(Close)、穏やかに(Calm)、小さな声で(Quiet)「座って食べようね」と伝えます。座れたら「座れたね!えらい!」とすぐに褒める。この繰り返しが、行動を変えていく力になります。
CCQに関するよくある質問(Q&A)
Q. CCQは何歳から使えますか?
A. 言葉が理解でき始める1歳半〜2歳頃から使えます。この時期は言葉だけでなく、ジェスチャーや実際にやって見せることを組み合わせましょう。年齢に合わせた実践のコツは上記の「年齢別のCCQ実践ポイント」を参考にしてください。
Q. 夫(妻)がCCQを理解してくれません。どうしたらいいですか?
A. まずは自分だけで実践して、変化を見せるのが一番の近道です。「最近怒鳴る回数が減ったでしょ?」「子どもが言うこと聞くようになったでしょ?」と結果で伝えると、パートナーも関心を持ちやすくなります。ペアトレ講座にはご夫婦で参加できるプログラムもあります。
Q. CCQを使っても全然聞いてくれない日があります。
A. 体調が悪い日、眠い日、お腹が空いている日、刺激が多すぎた日など、子どものコンディションによってうまくいかない日は必ずあります。100%の成功を目指す必要はありません。「今日はCCQを1回でも使えた」と自分を褒めてあげてください。
Q. 外出先でもCCQは使えますか?
A. もちろん使えます。むしろ外出先こそCCQの出番です。スーパーで走り回る子どもに離れた場所から「走らないで!」と叫ぶより、追いついて手を握り「ここでは歩こうね」と伝えるほうが効果的です。周囲の目が気になるかもしれませんが、穏やかに対応する姿は好印象を与えます。
Q. きょうだいが複数いる場合、全員にCCQを使えますか?
A. 使えます。ただし、きょうだい喧嘩の最中など複数の子どもに同時に対応する場面では、まず安全を確保してから、一人ずつ順番に対応しましょう。「お兄ちゃんには後で話を聞くね」と伝えてから、まず泣いている子のそばに行く、といった優先順位をつけると対応しやすくなります。
実践者のエピソード:CCQで変わった朝の風景
ある保護者は、毎朝のように「早くしなさい!」「何回言ったらわかるの!」と怒鳴っていました。子どもは4歳の男の子。朝の支度がとにかく進まず、毎日遅刻ギリギリ。怒鳴っても動かない、怒鳴ればもっと泣く、という悪循環でした。
ペアトレでCCQを学んでから、この保護者は「まず深呼吸してから子どもの部屋に行く」「子どもの隣に座って、小さい声で『お着替えの時間だよ』と伝える」を実践しました。最初の1週間はほとんど変化がなく、正直「やっぱり無理かも」と思ったそうです。
ところが2週間目、子どもが自分からパジャマを脱ぎ始めた日がありました。「え、自分で着替えるの!?」と驚いて、思わず「すごい!自分で始めたんだね!」と褒めたところ、子どもはとても嬉しそうな顔をしました。
それからは少しずつ、朝の支度がスムーズになっていったそうです。もちろん毎日うまくいくわけではありません。でも、「怒鳴る」から「穏やかに伝える」に変えただけで、親子の朝の時間が明らかに変わったと話しています。
こうした受講者の声はペアトレ体験談の記事でも紹介しています。
環境調整との組み合わせでさらに効果アップ
CCQの効果をさらに高めるには、環境調整を併用するのがおすすめです。環境調整とは、子どもが望ましい行動をとりやすいように、物理的な環境を整えることです。
- 朝の支度 — 着替えを前日の夜に出しておく、やることリストをイラスト付きで壁に貼る
- 宿題 — テレビを消す、机の上を片付ける、タイマーを使う
- お出かけ前 — 持ち物チェックリストを玄関に貼る、靴を履きやすい位置に置く
- 食事中 — 気が散るおもちゃを片付ける、座りやすい椅子を用意する
環境を整えておくことで、CCQで指示を出す回数自体を減らすことができます。「指示を出さなくても自然とできる状態」が理想です。
ペアトレ講座で実際にCCQを練習しよう
CCQは本やWebサイトで知識を得ることもできますが、ペアトレ講座でロールプレイ(実践練習)をするとさらに効果的です。講座では、講師が子ども役をして、実際にCCQで指示を出す練習ができます。頭ではわかっていても、実際にやってみると「穏やかな声ってどのくらい?」「どこまで近づけばいいの?」といった細かい疑問が出てくるものです。
全国のペアトレ講座はイベント一覧ページから探すことができます。お住まいの地域で開催されている講座をぜひチェックしてみてください。オンラインで参加できる講座もあります。
また、ペアトレの受講方法や費用については受講の流れや費用ガイドの記事で詳しく解説しています。「どこで受けられるの?」という方はペアトレの探し方ガイドをご覧ください。


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