
「うちの子はまだ小さいけど、ペアトレを受けられる?」という質問をよくいただきます。幼児期は、多くのプログラムが中心的な対象としている時期です。
ペアトレの対象年齢は?
一般的なペアレント・トレーニングの対象年齢は3歳〜10歳程度です。ただし、プログラムによって異なります。
- 2〜3歳 — 一部のプログラムで対象。言葉が出始める時期から対応可能
- 3〜6歳(幼児期) — 多くのプログラムの中心的な対象
- 小学生 — 広く対象。学校での困りごとにも対応
- 中学生以上 — プログラムは限られるが、基本的な考え方は応用可能
幼児期に始めるメリット
1. 行動パターンが柔軟な時期
幼児期は行動が習慣化する前なので、新しいパターンを身につけやすい時期です。小さいうちに良い行動を定着させると、成長とともに自然と続くようになります。
2. 二次障害との関係
叱られ続けることと、自己肯定感の低下・不登校・反抗挑発症などの「二次障害」との関係は、しばしば指摘されます。ただし、ペアトレに二次障害を予防する効果があるかどうかは、実践ガイドブックにも記載がなく、当サイトでは確認できていません。
3. 保護者の子育てスキルが早期に向上
子どもがまだ小さいうちにスキルを身につければ、学童期・思春期の子育てにも活かせます。「早く知りたかった」は受講者の定番コメントです。
4. 就学前の準備になる
集団生活に必要な「順番を待つ」「指示を聞く」「座っている」といったスキルを、小学校入学前に伸ばせます。
幼児期ならではの関わり方のコツ
褒め方のコツ
- 大げさに褒めてOK — 幼児は反応が大きいほど喜ぶ。拍手やハイタッチも効果的
- 言葉+スキンシップ — 「すごいね!」と言いながらハグする
- すぐに褒める — 幼児は時間が経つと何を褒められたかわからなくなる
- シール・スタンプを活用 — 視覚的なごほうびは幼児に特に効果的
指示の出し方
- 短い言葉で — 「お靴を履こうね」(長い説明は理解できない)
- 見せながら — 言葉だけでなく、やって見せる
- 選択肢は2つまで — 「赤い靴と青い靴、どっちにする?」
- 遊びに取り入れる — 「おもちゃのおうちに帰してあげよう」(片付け)
困った行動への対応
- かんしゃくは安全を確保して見守る — 落ち着くまで待ち、落ち着いたら褒める
- 「代わりの行動」を教える — 「叩く代わりに『やめて』って言おうね」
- タイムアウトは短く — 3歳なら3分。年齢×1分が目安
- 一貫性を保つ — 同じ行動には毎回同じ対応をする
「診断前」でも受けられる
幼児期は発達障害の診断がまだついていないケースも多いですが、診断がなくても受けられるプログラムはたくさんあります。「育てにくさ」を感じている段階で受講することに大きな意味があります。
お住まいの自治体の保健センターや子育て支援センターに相談してみてください。「子育てが大変」と伝えれば、ペアトレを含む支援につなげてもらえることが多いです。
ペアトレの受講方法は受けるまでの流れ、費用については料金・費用をご覧ください。よくある質問も参考になります。
関連記事: 子育ての不安を共有できる先輩保護者のサポート「ペアレント・メンター」もおすすめです。
幼児期のよくある困りごとと対応法
幼児期の子育てには、この時期特有の「困りごと」がたくさんあります。ペアトレで学ぶ対応法を、場面ごとに紹介します。
かんしゃく・泣きわめき
幼児期のかんしゃくは、自分の気持ちをまだ言葉でうまく伝えられないことが主な原因です。「お菓子がほしい」「もっと遊びたい」「眠い」といった気持ちが爆発している状態です。
- 安全を確保して見守る — 周囲に危険なものがないか確認し、落ち着くのを待ちます。叱っても逆効果で、かんしゃくが長引くだけです
- 落ち着いたら褒める — 「自分で落ち着けたね、えらいね」と伝えます。この「落ち着いた後の褒め」が最も重要です
- 気持ちを言葉にする手伝い — 「お菓子が食べたかったんだね。悔しかったね」と感情に名前をつけてあげましょう
- 事前のルール決め — お出かけ前に「今日はお菓子は1つだけだよ」と伝えておくと、かんしゃくの予防になります
かんしゃくへの詳しい対応法はかんしゃくとペアトレの記事で解説しています。
食事の問題(偏食・遊び食べ)
幼児期は好き嫌いが激しくなる時期です。無理に食べさせようとすると、食事自体が嫌いになってしまうリスクがあります。
- 食べたものを褒める — 食べなかったものを叱るのではなく、食べたものに注目して「お魚食べられたね!」と褒めます
- 一口だけルール — 「一口だけ食べてみよう。嫌だったら残してOK」と伝えると、チャレンジのハードルが下がります
- 遊び食べには注目を外す — 行動の3分類で🟡に分類し、あえて反応しません。食べている瞬間にすかさず褒めましょう
- 食事時間は30分を目安に — ダラダラ食べが続くなら、「30分で終わりにしようね」と時間を区切ります
トイレトレーニング
トイレトレーニングは、ペアトレの考え方がそのまま活きる場面の一つです。
- 成功を大いに褒める — トイレでできたら「トイレでできたね!すごい!」と大げさに褒めましょう。シール台紙を使って視覚的なごほうびを用意するのも効果的です
- 失敗を叱らない — おもらしを叱ると、トイレ自体が怖い場所になってしまいます。「大丈夫だよ、次はトイレに行こうね」と穏やかに声かけしましょう
- タイミングを見て誘う — 食後、起床時、お昼寝後など、出やすいタイミングで「トイレに行ってみようか」とCCQで声をかけます
- 焦らない — 個人差が大きいので、周りの子と比較する必要はありません。2歳で完了する子もいれば、4歳近くまでかかる子もいます
きょうだいケンカ
下の子が生まれると、上の子の「赤ちゃん返り」やきょうだい間のトラブルが増えます。
- 仲良く遊べている瞬間を褒める — ケンカの場面だけに注目せず、「一緒に遊べているね!」と褒めます。この「当たり前の良い行動」を褒めることが、ケンカの予防になります
- 危険な行為は即座に制止 — 叩く、噛むなどの行為は🔴として対応します。「叩くのはダメ。”かして”って言おうね」と代替行動を教えます
- 上の子との二人きりの時間を作る — 「お兄ちゃん(お姉ちゃん)だから我慢して」は禁句です。上の子にも特別な時間を用意しましょう
この記事で触れたスキルの詳しい解説
ここまでに出てきたスキルは、それぞれ個別の記事にまとめています。子どもの行動の整理は行動の3分類、ほめ方は効果的な褒め方の3原則、イヤイヤ期そのものへの対応はイヤイヤ期がつらい…ペアトレで学ぶ「子どもに伝わる」5つの関わり方をご覧ください。
よくある質問(Q&A)
Q. 2歳でもペアトレの効果はありますか?
A. あります。2歳向けのプログラムは限られますが、ペアトレの基本的な考え方(褒める、行動を分類する、環境を整えるなど)は2歳からでも十分に活用できます。実際、「子どもが小さいうちに知れてよかった」という声は非常に多いです。
Q. 幼児向けと学童向けでプログラムは違いますか?
A. 基本的な考え方は共通ですが、実践の場面や具体例が年齢に合わせてアレンジされています。幼児向けでは、遊びの中での関わり方、シール表やごほうびシステムなど、幼児に効果的な手法を多く学びます。
Q. 保育園や幼稚園の先生にもペアトレの内容を伝えたほうがいいですか?
A. ぜひ伝えてください。家庭と園で同じ方針で対応すると、子どもにとって一貫した環境になり、行動が安定しやすくなります。「家ではこういう対応をしています」と伝えるだけで、先生との連携がスムーズになります。
Q. 発達に不安があるのですが、まず何をすればいいですか?
A. まずはお住まいの自治体の保健センターに相談してみてください。必要に応じて発達検査や専門機関の紹介を受けられます。発達障害者支援センターも相談窓口の一つです。ペアトレ講座は診断の有無に関わらず受けられるものが多いので、イベント一覧からお近くの講座を探してみてください。
Q. 費用はどのくらいかかりますか?
A. 自治体主催の講座は無料のものも多くあります。詳しくはペアトレの費用ガイドをご覧ください。ペアトレの探し方ガイドも参考になります。
まとめ:何歳からでも始められる
幼児期は、多くのプログラムが中心的な対象としている時期です。ただし、年齢によってペアトレの効果に差があるかどうかは、厚生労働省の実践ガイドブックにも記載がなく、当サイトでは確認できていません。青年期の子どもの保護者を対象とした研究も報告されています。何歳であっても、お住まいの地域で受けられる講座を確認してみてください。
ただし、「もっと早く始めればよかった」と後悔する必要はありません。ペアトレは何歳から始めても効果があります。大切なのは「始めようと思った今」が最善のタイミングだということです。
ペアトレ受講の流れを確認して、お子さんとの毎日をもっと楽しく、もっと穏やかにする第一歩を踏み出してみませんか?