基礎知識

ペアレント・トレーニングは効果があるの? — 科学的根拠とエビデンス

ペアレント・トレーニングは効果があるの? — 科学的根拠とエビデンス

「ペアトレって本当に効果があるの?」「科学的な根拠はあるの?」という疑問をお持ちの方へ。ペアレント・トレーニング(以下ペアトレ)は、行動療法をもとに開発された心理教育プログラムです。効果についてどこまで言えるかは、このページで一次資料の出典つきに整理しています。この記事では、海外と日本の研究データを具体的に紹介しながら、「なぜ効くのか」「どのくらい効果が持続するのか」「効果が出にくいケースとその対処法」まで詳しく解説します。

世界的に認められたエビデンス

ペアレント・トレーニングは、1960年代にアメリカで行動療法を基盤として開発されて以来、約60年にわたる研究の蓄積があります。効果についても多くの研究が行われていますが、結論の強さは資料によって異なります(このページの各出典を参照)。

主な研究結果:

  • ADHD の子どもの行動によい影響がある可能性が示されています(ADHD 特有の行動についての結果は一貫していません。下の出典を参照)
  • 保護者のストレスと抑うつ症状の軽減
  • 親子関係の改善(ポジティブなやり取りの増加)
  • 介入が終わった後の追跡調査が行われている研究があります(期間は研究によって異なります)
  • 薬物療法との併用が、総合的な指標では優れていたという報告があります(ただし、試験が終わったあとには群の差が縮んだとも報告されています。下の出典を参照)

この囲みの研究結果について、当サイトでは一次資料を確認できていません。どこまでたどれたかは、この後の注記にまとめています。

米国小児科学会(American Academy of Pediatrics)の診療ガイドライン(2019年)は、ADHD と診断された4歳から6歳の誕生日までの子どもについて、その支援が利用できる場合に、行動療法にもとづく保護者向けの支援を薬物療法より先に選ぶ第一選択として推奨しています(推奨 KAS 5a。逐語と出典は下の注記を参照)。英国については、このページで引用している Cochrane レビューが NICE 2008 の推奨として「就学前の子どもの保護者にはペアレント・トレーニングまたは教育プログラムを第一選択の治療として提供する」と記載しています。⚠ ただし同じ Cochrane レビューは、その直前で「この推奨は、ADHD ではなく素行症の12歳未満の子どもを対象にした研究にもとづいている」(NICE 2006a)とも書いています。推奨そのものを否定しているのではなく、根拠になった研究の対象が違う、という指摘です。当サイトが確認できたのはこの2つで、いずれも米国と英国のガイドラインです。

出典(就学前の第一選択について): 米国小児科学会 (American Academy of Pediatrics)「Clinical Practice Guideline for the Diagnosis, Evaluation, and Treatment of Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder in Children and Adolescents」Pediatrics, 2019年、推奨 KAS 5aGrade A, strong recommendation for PTBM)。オープンアクセス版(2026年9月5日閲覧)の逐語は「For preschool-aged children (age 4 years to the sixth birthday) with ADHD, the PCC should prescribe evidence-based PTBM and/or behavioral classroom interventions as the first line of treatment, if available.」。⚠ この推奨はADHD と診断された4歳から6歳の誕生日までの子どもについて、その支援が利用できる場合に最初に選ぶ、というものです。効果の大小を薬物療法と比べたものではありません。

海外の代表的なメタ分析の結果

複数の研究結果をまとめて効果を検討した論文(系統的レビュー)がいくつも出ています。ただし、まとめ方も結論の強さも資料によって異なります(下の出典を参照)。

  • 外在化問題行動(かんしゃく・攻撃性など)の減少:効果の大きさは研究によって幅があります(下の出典を参照)
  • 養育スキルの向上:ポジティブな声かけが増えると報告されています(増加率は当サイトでは確認できていません)
  • 保護者のメンタルヘルス:保護者のストレスが減る可能性があるとされています(下の出典を参照)
  • 兄弟姉妹への波及効果:対象児だけでなく、きょうだいの行動にもプラスの変化が見られる

ここに挙げた効果量・増加率・統計的な差についての数値は、当サイトでは一次資料を確認できていません。この記事が出典として挙げている厚生労働省「ペアレント・トレーニング実践ガイドブック」(一般社団法人 日本発達障害ネットワーク JDDnet 作成、2020年)全48頁を全文検索しましたが、これらの数値にあたる記述はありませんでした。海外の効果研究のうち、米国小児科学会 2019(オープンアクセス版・全文139,885字)と Kaminski & Claussen 2017(同・全文108,954字)は 2026年9月5日に全文を開いて検索しましたが、ここに挙げた数値を裏づける記述は見つかりませんでした。Kaminski & Claussen 2017 には効果量の表がありますが、同論文自身が「これらの効果量は、他の方法で算出した効果量と比較すべきではない」と断っています。MTA 1999 は同日 HTTP 403 で本文を取得できず、オープンアクセス版も探しましたが見つかりませんでした。NICE のガイドライン NG87 は概要ページのみ取得でき、これらの数値は含まれていません。

出典(効果の大きさと追跡について): Kaminski JW, Claussen AH.「Evidence Base Update for Psychosocial Treatments for Disruptive Behaviors in Children」Journal of Clinical Child & Adolescent Psychology 46(4), 2017年, Table 3(オープンアクセス版、2026年9月5日閲覧)。同表で、集団で行う保護者向け行動療法の効果の大きさは0.02(ほぼ変化なし。わずかな悪化の可能性)から −1.41(約1.5標準偏差の改善)までと幅があります。追跡は「なし/6か月/1年/18か月」と研究ごとに異なり、維持された指標の数も「3 of 3」から「0」までばらついています。⚠ 同論文自身が「これらの効果量は、他の方法で算出した効果量と比較すべきではない」と断っており、さらに「この評価基準は、治療終了後に効果が維持されるかどうかの情報を組み込んでいない」とも書いています。なお同論文が扱うのは破壊的行動(反抗挑発症・素行症)で、ADHD に限った検討ではありません。

出典(ADHD の子どもへの効果について): Zwi M ほか「Parent training interventions for Attention Deficit Hyperactivity Disorder (ADHD) in children aged 5 to 18 years」Cochrane Database of Systematic Reviews 2011年12月7日, 2011(12):CD003018(オープンアクセス版、2026年9月5日閲覧)。結論は逐語で「Parent training may have a positive effect on the behaviour of children with ADHD. It may also reduce parental stress and enhance parental confidence.」(保護者向けトレーニングは ADHD の子どもの行動によい影響を与える可能性があり、保護者のストレスを減らし自信を高める可能性もある)。⚠ 同レビューは続けて「However, the poor methodological quality of the included studies increases the risk of bias in the results. Data concerning ADHD-specific behaviour are ambiguous. … Evidence from this review is not strong enough to form a basis for clinical practice guidelines.」(含まれた研究の方法論的な質が低く、結果にバイアスの危険がある。ADHD 特有の行動についてのデータは曖昧である。このレビューの根拠は、診療ガイドラインの土台にできるほど強くない)とも書いています。なお同レビューの文献検索は2010年9月までで、それ以降の研究は含まれていません。

出典(薬物療法との併用について): Hinshaw SP「ADHD, Multimodal Treatment, and Longitudinal Outcome: Evidence, Paradox, and Challenge」Wiley Interdisciplinary Reviews: Cognitive Science 2014年11月3日, 6(1):39–52, doi:10.1002/wcs.1324(オープンアクセス版、2026年9月5日閲覧)。同論文は米国の MTA 試験について「reanalyses and reappraisals have highlighted (a) the superiority of combination treatment for composite outcomes and for domains of functional impairment」(再解析により、総合的な指標と生活上の困難の領域について、併用が優れていたことが示された)と書いています。⚠ ただし同論文は、介入期間が終わったあとについて「In another year’s time participants across all four randomly assigned treatments were in an essential dead heat with respect to nearly all core outcomes: The initial advantages for optimally medicated participants had dissipated.」(さらに1年後には、4つの割り付け群はほぼすべての主要な指標でほぼ横並びになり、当初の優位は消えていた)とも書いています。この比較は併用と他の条件との比較であって、ペアトレと薬物療法のどちらが優れているかを述べたものではありません。

世界保健機関(WHO)も、子どもの行動上の問題に対する親支援プログラムを推進しており、ペアトレはグローバル・スタンダードと言える介入方法です。

日本での位置づけ

日本でも、ペアレント・トレーニングの有効性は認められ、国の施策にも組み込まれています。

  • 厚生労働省が「発達障害者支援施策」の中でペアトレを推進
  • 発達障害者支援法(2016年改正)で家族支援の充実が明記
  • 多くの自治体が公費でペアトレ講座を開催
  • 日本版プログラム(精研式等)の効果研究が蓄積

日本で実践されている主なプログラムと研究成果

日本では、海外プログラムをそのまま導入するだけでなく、日本の文化や家庭環境に合わせた独自のプログラムが開発されています。いずれも効果研究が行われ、国内の学術雑誌に成果が報告されています。

  • 精研式ペアレント・トレーニング:国立精神・神経医療研究センター(精研)が開発。ADHD児を持つ保護者を対象に、全10回のグループセッションで構成。効果については、厚労省の実践ガイドブックが「これまで多くの研究で、ペアレント・トレーニングは親の養育スキルの向上やストレスの低減、子どもの適応的な行動の獲得、問題行動の改善に効果があることが明らかとなっています」と書いています(同書 p.9)。症状の低減幅や追跡期間といった個別の数値については、当サイトでは出典を確認できていません
  • まめの木クリニックでの実施:東京都江戸川区のまめの木クリニック・発達臨床研究所では、精研式を全10回1クール・1回90分・概ね隔週で実施しています(厚労省ガイドブック p.32)。同ガイドブックは評価について「プログラム前後に子どもの行動チェックリスト、ADHD―RS、親の養育行動などについて行う」と書いていますが、その結果は載せていません(当サイトが以前ここに「保護者の自己効力感の向上や、養育態度のポジティブな変化が報告されています」と書いていたのは誤りです。一次資料に根拠が見つかりませんでした。撤回します。)
  • 鳥取大学式ペアレント・トレーニング:井上雅彦先生らが開発。応用行動分析(ABA)を基盤とし、知的障害を伴う自閉スペクトラム症(ASD)の子どもを持つ保護者向けに始まったプログラムで、視覚的支援の活用など、ASD特性に配慮した内容が含まれています

厚生労働省は2019年に「ペアレント・トレーニング実践ガイドブック」を公表し、全国の自治体・支援機関が質の高いペアトレを提供できるよう6つのコアエレメントを定めました。詳しくは厚労省ガイドブックから読み解く「ペアトレの標準モデル」をご覧ください。

具体的にどんな変化が起きるのか

国内の研究や受講者アンケートで報告されている主な変化をまとめました。学術的なデータだけでなく、「実際の生活がどう変わるのか」をイメージしやすいように具体例も交えて紹介します。

子どもの変化

  • 好ましい行動(挨拶、片付け、約束を守るなど)の増加
  • かんしゃく・反抗的行動の減少
  • 自分で考えて行動する場面の増加
  • 自己肯定感の向上

【具体例】小学2年生・Aくんの場合
ADHDの診断を受けたAくんは、宿題の時間になるたびにかんしゃくを起こし、毎日のように親子で衝突していました。保護者がペアトレを受講し、「宿題に取りかかれたこと」自体を褒めるスキルを学んだところ、2週間ほどでAくんは自分からランドセルを開けるようになりました。かんしゃくが完全になくなったわけではありませんが、頻度は週に数回から月に1〜2回へと大幅に減少しました。

保護者の変化

  • 子どもを褒める回数の増加
  • 叱る・怒鳴る回数の減少
  • 子育てストレスの軽減
  • 「自分のせい」という罪悪感の減少
  • 子どもの行動を客観的に見られるようになる

【具体例】年長・Bちゃんの保護者の場合
Bちゃんの母親は「何度言っても言うことを聞かない」と日々悩み、気づけば怒鳴ることが習慣化していました。ペアトレで行動の3分類を学び、「好ましい行動」「好ましくない行動」「危険な行動」を分けて記録するようになったところ、「実はBちゃんは好ましい行動もたくさんしていたのに、自分が気づいていなかっただけだった」と気づきました。効果的な褒め方を実践するうちに、怒鳴る回数は1日5回以上から週に1〜2回程度に減ったそうです。

年齢別・効果のポイント

ペアトレの効果は子どもの年齢によって現れ方が異なります。お子さんの発達段階に合ったポイントを押さえることで、より効果を実感しやすくなります。

幼児期(2〜5歳):多くのプログラムが対象にしている時期

幼児期は、多くのプログラムが対象年齢に含めている時期です(厚労省の支援者用マニュアルが示すプログラムは「3歳児〜小学校3年生くらいまでの子どもの保護者」を対象としています・同書 p.2)。(「効果が最も出やすい」と断定できる記述は実践ガイドブックにも支援者用マニュアルにもありません。)イヤイヤ期のかんしゃくや、言うことを聞かない場面に対して、CCQ(穏やかに・近づいて・静かに)の声かけを実践すると、数日〜2週間ほどで変化が見え始めることが多いです。

また、この時期は保護者の関わり方が子どもの愛着形成に大きく影響します。ペアトレでポジティブなコミュニケーションを増やすことは、長期的な親子関係の土台づくりにもつながります。詳しくはイヤイヤ期とペアトレ幼児期ペアトレの記事もご参照ください。

学童期(6〜12歳):学校生活での改善が期待できる

学童期は、宿題・友人関係・学校のルールなど、家庭外での課題も増える時期です。ペアトレで「環境調整」のスキルを学ぶことで、家庭学習の定着や生活リズムの改善につながります。環境調整のコツを取り入れると、「声をかけなくても自分でできる」場面が増えていきます。

学校との連携も重要です。ペアトレで学んだスキルを担任の先生と共有すると、家庭と学校で一貫した対応ができるようになります。詳しくは学校・教育現場でのペアトレをご覧ください。

思春期(13歳〜):関係性を土台にした関わりへ

思春期は親の言葉に反発しやすい時期ですが、ペアトレの原則は変わりません。「好ましい行動に注目して認める」「危険でない限り過干渉しない」といったスキルは、思春期の子どもとの距離感を保つうえで非常に有効です。ただし、幼児期に比べると効果が出るまでに時間がかかる傾向があり、焦らず継続することが大切です。

なぜ効果があるのか — 行動理論の裏付け

ペアトレの効果は、心理学の応用行動分析(ABA:Applied Behavior Analysis)に基づいています。ABAは、自閉スペクトラム症の療育をはじめ、教育・医療・スポーツなど幅広い分野で活用されている学問領域です。基本原理はシンプルです。

  1. 強化された行動は増える — 褒められた行動は繰り返される(正の強化)
  2. 注目されない行動は減る — 反応がなければやる意味がなくなる(消去)
  3. 環境が行動に影響する — 環境を整えれば問題が起きにくくなる(先行刺激の操作)

これらの原理を、保護者が家庭で日常的に実践することで、子どもの行動が少しずつ変わっていきます。特別な道具や施設は必要ありません。

たとえば、食事の前に手を洗えたら「手を洗えたね!えらいね」と具体的に褒める。これだけでも、「手を洗う」という行動が強化されます。逆に、食事中に立ち歩く行動に対しては、危険でなければあえて反応しない(計画的無視)。すると、「立ち歩いても注目が得られない」と学習し、徐々にその行動は減少します。

このように、行動の原理は日常のあらゆる場面で使えるため、ペアトレで学んだスキルは講座が終わった後も長期的に活かし続けることができます。行動の3分類について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

効果の持続性 — フォローアップ研究の結果

「講座を受けている間だけ効果があるのでは?」という疑問もあるかもしれません。この点についても研究が行われています。

  • 追跡調査:追跡した時点で効果が維持されているかどうかは、研究によって分かれます(下の出典を参照)
  • 1年後のフォローアップ:効果の一部は減弱するものの、受講前の水準には戻らないという結果が多数報告されています
  • ブースターセッション:講座終了後にフォローアップの回を設けているプログラムがあります。ただし、それによって効果の維持が高まるかどうかは、当サイトでは一次資料を確認できていません

ここに挙げた追跡期間と、終了後の追加セッションの効果については、当サイトでは一次資料を確認できていません。厚生労働省「ペアレント・トレーニング実践ガイドブック」全48頁を全文検索しましたが該当する記述は無く、米国小児科学会 2019 と Kaminski & Claussen 2017 のオープンアクセス版も 2026年9月5日に全文を開いて検索しましたが、追跡期間やこの追加セッションについてここに書いた内容を裏づける記述は見つかりませんでした。MTA 1999 は HTTP 403 で本文を取得できていません。

重要なのは、ペアトレは「テクニックの暗記」ではなく「子どもの見方・関わり方の考え方そのもの」を学ぶプログラムだということです。考え方が身につけば、新しい問題が出てきても自分で応用できるようになります。これが長期的な効果の理由です。

発達障害の種類別に見る効果

ペアトレは発達障害全般に有効とされていますが、診断名によって効果の現れ方やアプローチが異なります。

ADHD(注意欠如・多動症)

ペアトレの効果が最も多く研究されているのがADHDです。不注意・多動性・衝動性による行動上の問題に対して、行動療法にもとづく関わり方が研究されてきました。米国小児科学会の診療ガイドライン(2019年)は、ADHD と診断された4歳から6歳の誕生日までの子どもについて、その支援が利用できる場合に、行動療法にもとづく保護者向けの支援を薬物療法より先に選ぶ第一選択として推奨しています(推奨 KAS 5a。逐語と出典はこのページの「就学前の第一選択について」の注記を参照)。米国のガイドラインであり、この年齢の範囲についての推奨です。詳しくはADHDとペアトレをご覧ください。

ASD(自閉スペクトラム症)

ASDの子どもに対するペアトレでは、コミュニケーションの困難さや感覚過敏に配慮した内容が追加されます。視覚的なスケジュール提示や、予告による見通しの確保など、ASD特性に合わせた環境調整スキルを重点的に学びます。詳しくはASDとペアトレの記事をご覧ください。

学習障害(LD)・グレーゾーン

診断がつかない「グレーゾーン」のお子さんにもペアトレは有効です。「診断がなくても、子どもの行動に困っている」という状態であれば十分に受講の対象になります。グレーゾーンとペアトレ学習障害とペアトレの記事も参考にしてください。

「効果がない」と感じるとき

ペアトレに取り組んでも、すぐには効果を感じられないこともあります。よくある原因と対処法をお伝えします。

  • 消去バースト — 無視を始めると一時的に行動がエスカレートします。これは「今まで通りやれば反応が返ってくるはず」と子どもが試している証拠であり、スキルが効き始めているサインです。ここで折れずに続けることが大切です。通常は数日〜1週間で落ち着きます
  • 家族間で対応がバラバラ — 保護者だけが実践し、祖父母や配偶者が従来通りの対応をすると効果が薄まります。ペアトレで学んだポイントを家族全体で共有しましょう
  • 変化に気づけない — 記録をつけると、客観的に変化が見えるようになります。「かんしゃくの回数」「褒めた回数」など、簡単な数値を毎日メモするだけでも効果の実感が変わります
  • 期待が高すぎる — 「問題行動がゼロになること」を目指すと挫折しやすくなります。「頻度が少し減った」「持続時間が短くなった」という小さな変化を評価しましょう
  • お子さんの状態が複雑 — 知的障害を伴う場合や、複数の診断がある場合など、標準的なプログラムでは対応しきれないケースもあります。その場合は、個別の専門的支援との併用を検討しましょう

困ったときは、講座のスタッフや発達障害者支援センターに相談してください。個別の状況に合わせたアドバイスをもらえます。

よくある質問(Q&A)

Q1. ペアトレの効果はどのくらいで実感できますか?

A. 個人差はありますが、多くの場合、講座の中盤(3〜4回目)あたりから「子どもの反応が変わってきた」と感じ始めます。保護者の意識の変化はもう少し早く、1〜2回目から「子どもの行動の見え方が変わった」という報告がよくあります。ただし、劇的な変化を期待するのではなく、小さな変化を積み重ねるものと考えてください。

Q2. 効果がある子とない子の違いは何ですか?

A. ペアトレの効果は「子どもの特性」よりも「保護者がスキルを日常で実践できるかどうか」に大きく左右されます。忙しくて練習時間が取れない場合や、家庭内の協力体制が整わない場合は効果が出にくくなります。講座のスタッフに正直に状況を伝え、無理のない範囲でのホームワークを調整してもらいましょう。

Q3. 薬物療法とペアトレはどちらが効果的ですか?

A. 両方にそれぞれの強みがあります。薬物療法は不注意や多動性に直接作用し即効性がありますが、薬を中止すると効果はなくなります。ペアトレは効果が出るまでに時間がかかりますが、学んだスキルは一生の財産です。(「薬物療法+ペアトレの組み合わせが最も効果的」と断定できる記述は厚労省の実践ガイドブックにはありません。同書は薬物療法との優劣に触れていません。)いずれにしても主治医と相談のうえで判断してください。

Q4. 発達障害の診断がなくても受けられますか?

A. はい、受けられます。ペアトレは「子どもの行動に困っている保護者」のためのプログラムです。診断の有無は必須条件ではありません。実際、診断がつかない「グレーゾーン」のお子さんの保護者や、定型発達のお子さんの育てにくさに悩む保護者が受講するケースも増えています。自治体や実施機関に問い合わせてみてください。

まとめ — ペアトレは「根拠のある子育て支援」

ペアレント・トレーニングは、感覚や経験則に頼る子育てとは異なり、行動科学に基づいた「根拠のある子育て支援」です。研究の蓄積は約60年にわたります。診療ガイドラインでの位置づけについて当サイトが確認できたのは、米国(このページの「就学前の第一選択について」の注記)と英国(このページで引用している Cochrane レビューが NICE 2008 の推奨として記載)の2つで、それ以外の国や地域の専門機関についてはまだ確認できていません。「うちの子には効果がないかも」と不安に思う方も、まずは体験してみてください。「もっと早く知りたかった」という受講者の声は、下の体験談の記事で紹介しています(人数を数えた調査ではありません)。

ペアトレの体験談を読んでみると、効果のイメージがより具体的になるでしょう。受講を検討される方は、受講までの流れ費用の目安もチェックしてみてください。


ペアトレの基本について知りたい方は完全ガイドを、受講方法は受けるまでの流れをご覧ください。全国のペアトレ開催情報もチェックして、お近くの講座を探してみてください。


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